②なぜねむい?睡眠時無呼吸症
無呼吸症コラム2
「毎日きちんと睡眠をとっているのに、眠くて眠くて仕方がない」
「仕事中にどうしても居眠りをしてしまう」
などの症状を訴えて来院する患者さんがたくさんいます。なかには、「会議中にいつも居眠りをしているので診てもらったほうがいい」と上司に促されて来院する患者さんもいます。
ではなぜ、睡眠時無呼吸症の患者さんは日中の眠気を訴える方が多いのでしょうか。
▷睡眠時無呼吸症は、睡眠中に上気道の閉塞(=窒息)をきたす病気です。前回のコラム>のような病態によって上気道は閉塞し、窒息状態になるわけですから、そのままでは死んでしまいます。脳はその危険な状態を察知して、呼吸を再開させようとします。無呼吸症患者さんは無呼吸のあと、「クジラの潮吹き」と同じような大きな呼吸をしますが、まさしくその状態になっているのです。そして、この瞬間、一瞬だけ目が覚めて(覚醒して)しまいます。そのまま起きてしまい、窒息した感じを自覚することもありますが、大半の場合は、起きたことを自覚せず、すぐに睡眠に戻ってしまいます。おそらく脳は、睡眠を維持させるために、覚醒したことを忘れさせるのだと思います。しかしながら、寝てしまえば再び上気道が狭くなり、閉塞し、窒息状態になるため、再度「クジラの潮吹き」から覚醒してしまいます。
この、「窒息する」→「苦しいので呼吸が再開する」→「一瞬覚醒する」→「寝てしまう」→「窒息する」というサイクルが激しいほど、すなわち無呼吸症が重症なほど、繰り返し「覚醒して」いることになり、この繰り返す覚醒が、せっかく維持しようとした睡眠を極端に浅く、とぎれとぎれのものにしてしまうのです。まるで、2-3分おきに鳴る目覚まし時計をセットした状態で寝ているようなものです。
これが、
- よく眠ったという充実感がない
- 朝起床しても疲れがとれない
- 会議中に居眠りをしてしまう
- 居眠り運転で怖い経験を何度もしている
といった、「眠気」に伴う様々な症状につながるのです。