③なぜ眠くない?睡眠時無呼吸症

無呼吸症コラム2017年05月31日

 無呼吸症コラム3 

「無呼吸症では日中に眠くなるというけど、私、全然眠くならないんだけど...」

「もしかして、無呼吸症ではないんじゃないかと思うんですが?」

「重症だと言われたけど、治療する必要があるんでしょうか?」

▷前回のコラム>で、睡眠時無呼吸症の方は日中の眠気を訴える方が多く、なぜ眠くなるのかについてコメントしました。今回は、まるで反対のことを書いていて「何のことやら?」と思われる方も多いかもしれません。

しかし、実際の現場では、ひどい眠気を訴える患者さんのほうがむしろ少ない印象を受けるのです。多くの患者さんは「家人からいびきや無呼吸を指摘された。自分としては何ともないのだが、(妻が)うるさく言うので仕方なく来た」というパターンで来院されます。また、検査で重症の無呼吸症と診断されても尚、眠気とは無縁だとおっしゃる患者さんも多くみられます。ではなぜ眠気を自覚しないのでしょうか?

理由としてはいくつか考えられます。

①「眠気への慣れ」

個人的には、これが最も多い印象を受けます。簡単に言えば、「眠い自分しか知らないから、眠くない自分を知らない(忘れている)」ということです。無呼吸症は慢性の経過をとり、いつ発症したかは全く分からないことが多いです。いびきの指摘を発症時期とすれば、多くは10年単位で経過をしています。人間は極めて適応能力の高い生き物ですから、10年来の眠気をずっと自覚するのではなく、その中で眠気と付き合う術を見出してきます。診察室でよくある会話です。患者:「眠気は感じません、でも昼寝はします」 医師:「昼寝はなぜするのですか? 眠いからではないのですか?」患者:「いえ、習慣ですから...」 このような患者さんは、無呼吸症に対する治療後3か月程度で、治療前の自身の眠気を再評価してもらうと、明らかに眠かったことを認識する「レスポンスシフト(振り返り効果)」を認めることが多いので、治療前に「眠気への慣れ」についてしっかりお話ししておくことが、治療をきちんと継続するうえで重要と考えています。

②「眠気で困っていない」

高齢者、専業主婦などの方には多く、サラリーマンには少ない印象です。要は「いつでも眠れるので、眠くても困らないから眠気を認識しない」ということです。サラリーマンは、眠いと困る場面がありますからね。このタイプの患者さんにも、昼寝を習慣にしているとか、昼のドラマは途中までで寝てしまうといった、客観的には眠気を感じていると思われる生活パターンがしばしばみられます。それでも本人は「眠くない」とおっしゃいますので、生活パターンにまで踏み込んだ病歴聴取が重要になります。レスポンスシフトを認めることも多いので、治療開始時、しばらくしてからの眠気の再評価も重要ですね。

③「本当に眠くない」

多くは、心疾患、脳血管疾患などをもつ高齢者に多くみられます。なぜ眠くならないか不明な部分も多いのですが、高齢者は睡眠自体を必要としなくなることや、基礎的な疾患と相まって、むしろ不眠を訴えることが多いことが報告されています(無呼吸症は眠くなりすぎてしまう、すなわち「過眠」です)。このような患者さんは、無呼吸症の治療への反応が悪いことが多く、治療継続のむずかしさが指摘されるのですが、眠気以外の無呼吸症の心臓や脳への悪影響を考えると、ぜひとも継続してもらいたいとお話して、継続していくうちに「あれ? そういえば昼寝いらなくなった。」なんてことが出てくることもあります。

眠気一つとっても、人それぞれ。「昼間眠いですか?」で終わらせてはいけないのです。

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