④肥満じゃないのに睡眠時無呼吸症!?

無呼吸症コラム2017年07月10日

 無呼吸症コラム4 

睡眠時無呼吸症というと太っている人をイメージする人が多いかと思います。しかし、痩せているにもかかわらず、睡眠時無呼吸症と診断される方は沢山います。ではなぜ、痩せているのに睡眠時無呼吸症になるのでしょうか?

▷ 今ではインターネットなどを通じて、睡眠無呼吸症の情報を仕入れることが容易になっています。そうすると、必ず出てくるのが「肥満」というキーワードです。確かに肥満による上気道の狭小化は、睡眠時無呼吸症の主因の一つになっています。しかし、どう見ても肥満のない、寧ろ「やせ」の部類に入る方でも、ひどいいびき、無呼吸を指摘されて来院されることは珍しくありません。これには、日本人に特有の「顎顔面形態」が関係しています。

 欧米人に比較して、我々の顔は「上下に長く、奥行きがなく、あごがほっそりしていて、凹凸がない」という特徴を有しています。もちろん、欧米人の様に彫の深い方もいらっしゃるわけですから、あくまで一般論です。実は、この顔つきが上気道を骨格的に狭くする要因をすべて兼ね備えているのです。

気道の太さは、硬い組織である上顎骨、下顎骨といった顎顔面を形成する骨の組織の大きさや形態、すなわち「入れ物の大きさ」と、舌、扁桃、軟口蓋、咽頭腔周囲の皮下組織といった軟部組織、すなわち「中身の量」とのバランスにより成り立っています。 ですから、肥満の無呼吸症は、舌や軟口蓋などへの脂肪沈着によって「中身が大きい」ことが気道を狭くする主因であり、肥満のない無呼吸症は、顎顔面の「入れ物が小さい」ことが気道を狭くする主因となるのです。現に、重症の無呼吸症と診断された日本人の30%程度は正常体型であるとの報告もあります。

さらに、元来有する「入れ物の小ささ」に加え、高齢化による筋力の低下や、経度の肥満傾向が、「入れ物が小さいのに、中身が大きい」日本人の無呼吸症の増加と重症化に拍車をかけているのです。我々は、本当に太ってはいけない民族なのです。 

 街を歩いている時、電車に乗っている時、人々の顔をつい観察してしまいます。「いびきをかきそうだなあ、無呼吸症だなあ...」と思っても、声はかけませんが。完全に職業病ですね。



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