重症心不全・移植専攻医育成プログラム/C医師

2016年10月13日

ゆみのハートクリニックを選んだ理由

 大阪大学重症心不全・移植専攻医育成プログラムの一環として2016年9月26日月曜日から9月30日金曜日までゆみのハートクリニックにて研修させていただきました。心不全や末期癌症例など幅広く在宅医療の現場を学ばせていただきました。

実習内容

 研修の期間中、毎日訪問診療に同行させて頂きました。都心での訪問診療であり、公共交通機関を利用した訪問が多いかと思っておりましたが、基本的に車での往診を行っておりました。訪問診療コーディネーターの方が走行ルートとスケジュールを綿密に計画されており、効率良く診療を行っているのが印象的でした。訪問には、コーディネーターさん、もしくは看護師さんと医師の2人にて同行しており、タイトなスケジュールの中で医師は手際良く診察を行い、また、コーディネーターさんが診療を効率よくできるようにサポートを行っておりました。患者さんへの対応も非常に丁寧に行っており、ポータブルのエコーの画像をみながら患者さんに少しでもイメージしやすいように説明されているのが印象的でした。患者さんの自宅に診療レポートを必ず残すようにしており、患者さんの理解を深めたり、他のスタッフや必要に応じて訪問看護や病院との情報共有にも利用されており、クリニック内外の洗練された連携に驚かされました。

 研修第3日に病院からの紹介で重症心不全症例の訪問診療を経験させて頂きました。治療内容や、意思決定支援、予後予測、介護負担など、多職種の介入によって多角的に患者を評価する事で問題点を抽出し、それらの情報をカンファレンスなどで共有します。実際に患者の生活環境をみながら評価をする事で、本当の意味で患者のニーズに合ったオーダーメイドの医療が提供できると実感しました。

実習を終えて

 SNSでのリアルタイムの情報共有や、抄読会での最新知識の共有、積極的な学会発表などが、コメディカルのスタッフのモチベーションが高く維持される秘訣でしょうか。コメディカルのスタッフの役割が非常に大きく、チーム医療に不可欠な要素であると感じました。

 医師にとっては、病院の診療と違いレントゲンなどの診療ツールがほとんどない状況で行うため、問診や診察などの基本的な診療能力が求められます。そして、患者さんの自宅に訪問することは慣れない環境に飛び込んでいくという意味では、医療者にとっては病院よりもストレスなのかもしれません。逆に患者さんにとっては、外来よりも自宅でのリラックスできる環境で診療を受けられるため、ストレスは少なく、それだけでも重症心不全患者にとっては負担の軽減となっていると感じました。また、チームによる頻回の訪問や情報共有などにより、心不全増悪前の早い段階での介入を可能としており、患者をできるだけ入院させない取り組みが感じられました。

 今後、心不全患者の増加により、在宅医療における心不全診療の必要性が高まってくると考えられます。その先駆的なクリニックにて研修させていただき、大変貴重な経験となりました。弓野先生、スタッフの皆様、お忙しい中にもかかわらず対応していただき、誠にありがとうございました。皆様の今後ますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。



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