桜がつないでくれる「できる」の実感ー訪問リハビリテーションの現場から
今年も桜がきれいに咲いてくれました。
春になると、自然と「外に出たい」「見に行きたい」という気持ちが湧いてくるものです。
訪問リハビリテーションでは、このような気持ちを大切にしながら、活動範囲の拡大や社会参加の機会づくりに取り組んでいます。
身体が思うように動かないと、外出への意欲はなかなか生まれにくいものです。しかし桜は、その一歩を後押ししてくれる特別な存在です。
●それぞれの「お花見」のかたち

ある方は退院後の初めての外出として桜の下見に行きました。以前撮影した桜の写真をスマートフォンで眺めながら、「まずは行ってみよう」と一歩を踏み出されました。
ある方は自ら奥様を誘い、リハビリの時間に一緒に桜を見にいきました。
昨年は歩行器で遠くから眺めていた方が、今年は杖で桜の近くまで行けました。
ある方は、公園に到着するまでは覚醒が不安定な状態でしたが、ご友人が集まると笑顔になり、「まだまだ元気やで」と力強く話されていました。人と会うこと、自然に触れることの力を改めて感じさせられます。
また年初に「今年やりたいことはお花見」と話されていた方が、娘さんと一緒にその願いを実現された方もいます。
ALSになり、気管切開を選択した方は、長年の習慣であった桜の鑑賞を続けています。コミュニケーションボードで「まんかい」と表現された姿には、深い意味が込められているように感じました。
そのほかにも、
- 昨年は入院中で見られなかった桜を、今年は何度も見に行けた方
- 車椅子から歩行器へとADLが向上し、より自由に楽しめた方
- 昨年は部屋から眺めていた桜を、今年は外に出て直接見ることができた方
など、多くの「できた」が生まれました。
さらに、治療による苦痛から意欲を失っていた方が、「かつて妻とお花見を楽しんだ」という記憶をきっかけに外出を実現された例もあります。その後、「花を育てたい」という新たな目標も生まれ、日常に楽しみが戻ってきました。
●私たちのリハビリテーション

リハビリテーションとは単に身体機能を回復させるだけではなく、「その人が何を望むか」を一緒に見つけ、それを形にしていくプロセスだと考えています。
桜を見るという行為も、単なる外出ではなく、
- 目標になり
- 人とつながり
- 自分の変化を実感すること
といった、多くの意味を含んでいます。
当法人では、その人の生活の中にある「やりたい」を大切にしたリハビリテーションを行っています。
訪問リハビリテーション部
作業療法士 金丸






