YUMINOのひと - 医師 桑原優大 -

YUMINOのひと2025年07月01日

2025年春、YUMINOには12名の医師が入職しました。その中の一人で、前職では心臓血管外科にて小児期から成人期における先天性心疾患の治療・手術に従事されてきた桑原 優大医師(ゆみのハートクリニック三鷹・訪問診療)にこれまでの経験や訪問診療に携わろうと思ったきっかけなど伺いました。

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-これまではどのような医療領域に従事されていたのでしょうか?

  • 初期研修修了後は、榊原記念病院の心臓血管外科にて後期研修を行い、先天性心疾患チームのチーフレジデントを経験しました。その後、福井大学病院 救急・総合診療部で北米型ERの救急医療を学び、福井県内の主要病院を巡りながら後期研修を重ねました。
    福井では救急医療に加え、総合診療科や整形外科の外来や消化器内視鏡を週1回担当させていただいたり、多岐にわたる経験と多くのメンターと出会い、医師としての幅を大きく広げることができました。
    その後は榊原記念病院に戻り、先天性心疾患を専門とする心臓血管外科に所属。
    新生児から成人まで幅広い年齢層の患者さんに対し、執刀医として手術と急性期管理に携わってまいりました。これまでに約5000例におよぶ先天性心疾患の手術に関わらせていただいた経験は、私の大きな財産です。

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-さまざまな専門科目がある中でなぜ外科・循環器を選ばれたのでしょうか?

  • 学生時代から循環器の勉強が好きで、初期研修でも循環器内科を6か月ほど選択して回りました。当時は循環器内科に入局しようと考えていました。その後、心臓血管外科も2か月程研修をして、「心臓手術は自分には到底できそうにないな」と思ったのですが、あえてチャレンジしてみようと、選択しました。特段カッコ良い理由はなく、どちらかというと困難な道を選んでみようという感じで決めました。

-病院での医療から訪問診療に携わりたいと思った理由を教えてください

  • 私は富士山の麓、静岡県富士宮市という自然豊かな町で育ちました。歯科医である父の背中を見て育ち、いつか自分も地域に根ざした医療を届けたいという想いを持ち続けてきました。
    医学生になる前には、父に同行して高齢者施設や身体障害者施設を訪れる機会が何度かありました。そこで目にしたのは、患者さん一人ひとりの背景に寄り添い、熱心に診療を行う父の姿でした。
    患者さんとの距離が近く、生活に根ざした医療が実践されているその現場は、今も心に残っています。心臓血管外科の領域では、成人(後天性)と小児(先天性)で治療のスタイルが異なります。成人の手術は一度の関わりが多いのに対し、小児の先天性疾患では成長に合わせた再手術や長期的なフォローが必要で、患者さんやご家族と長く関係を築いていきます。
    その点が自分の性格に合っていると感じ、小児心臓血管外科の道を選びました。

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これまで手術によって救えた命もあれば、力及ばず失われた命もありました。また、術後の合併症に悩まされる患者さんも少なからず見てきました。
そんな中、昨年、私自身の娘が大病を患い、医療者としてだけでなく親としても多くのことを考えさせられました。
「病院の中にとどまらず、専門性を活かして地域に出ていきたい。そして、様々なハンディキャップを抱える方や、治療を乗り越えてきた患者さんとご家族の"その後"にも寄り添いたい」
ーその想いが、訪問診療への道を志すきっかけとなりました。


-訪問診療を行っているクリニックの中で、なぜYUMINOへの入職を決められたのでしょうか?

  • 循環器という専門性を活かしながら、地域に根ざした医療を実践できること。そして、医師としてのセカンドキャリアを支え、学び続けられる環境が整っていることに大きな魅力を感じ、入職したいと思いました。また、入職前から、人事の方やYUMINOのスタッフの皆さんが私の家庭環境(特に娘のこと)を気遣い、今後の働き方について一緒に真剣に考えてくださり、非常に心強く感じたことも決め手の一つでした。そして、訪問診療だけでなく外来診療にも携わることができ、患者さんを継続的かつシームレスに診ることができる点も、YUMINOならではの魅力だと感じています。

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-研修などを通して気づいたYUMINOの特徴や、印象的だった出来事があれば教えてください

  • まず驚いたのは、医師・コメディカル問わず、優秀で意識の高い方々が集まっているということです。皆さんの姿勢に刺激を受ける日々です。
    研修中特に印象的だったのは、弓野大先生との同行の際に伺ったお話です。
    「自分はいつも黒子に徹しようと思っているんです。私たちが関わるのは、患者さんの人生のほんの一部。そこだけをクローズアップするわけにはいかないですよね。その方が私たちと出会う前に歩んできた人生の方が、ずっと長いのですから。そこは気を付けつつ、でも何かあればすぐに手を差し伸べられる場所にはいつもいようと思っていますね。」
    そのお話を聞いて、自分が医療者として"どうありたいか"をあらためて考えさせられました。これまでの私は、自分が何かを"してあげる"という意識が強かったように思います。それを少し恥ずかしく感じるような、大きな気づきのある出来事でした。

-先生が患者さんと接する際に大切にされていることを教えてください

  • 病気のことだけでなく、その方の背景を知ることも大切にしています。どんな人にも大切にしている時間や誇れる過去があります。それを少しでも共有していただくことで、患者さんが心を開いてくださり、信頼関係が築けることがあります。その結果、治療なども前向きに取り組んでもらえることがあると感じています。
    診察の時間には限りがあり、患者さんとの距離感の取り方も難しいことがありますが、ちょっとした会話の中にも、その方の人生に寄り添うヒントが隠れていることがあります。患者さんが大切にされていることに気づけることで、今後の治療方針につながることもあります。
    病院では、どうしても治療の経過などが話の中心になってしまうことが多かったのですが、このように患者さんの暮らしや人生により深く触れることができるのは私自身の人生の糧となることもありますし、訪問診療の魅力だと思います。

 

-さいごに今後、挑戦していきたいことを教えてください

  • これまで培ってきた経験や知見を、地域医療の現場に落とし込み、そこで得られた学びをYUMINOという組織を通じて全国へ発信していきたいと考えています。
    また、私が所属する「ゆみのハートクリニック三鷹」には、循環器疾患以外にも幅広く対応できる素晴らしい専門スタッフが揃っており、より良いチーム医療を実践できる環境があると感じています。その中で、自分が貢献できることを一つずつ増やし、クリニックをさらに盛り上げていける存在になれるよう、謙虚に具体的な行動を積み重ねていきたいと思います。

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