YUMINOのひと - 医師 西谷 伸吾 -

YUMINOのひと2025年09月05日

今回のYUMINOのひとでは、のぞみハートクリニックの西谷伸吾医師をご紹介いたします。循環器内科医としてのキャリアを重ねる中で集中治療にも携わり、現在は訪問診療の現場で活躍されています。インタビューでは、訪問診療の道へ進もうと思った経緯や求められる力、そしてYUMINOでの働き方について聞きました。

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-はじめにこれまでの経歴を教えてください 

  • 大阪大学医学部を卒業後、初期研修を大阪大学病院と大阪府立急性期総合医療センターで行いました。その後、大阪大学の循環器内科に入局し、3年目からは神戸市内の関連病院で循環器内科医として勤務しました。その病院が地域医療の救急病院だったため、あまり専門診療科がなく、循環器疾患をお持ちの患者さん以外の患者さんも診る環境でした。また、ICUなどの専門医もいない状況で、重症患者さんを診ることが多く、そこから集中治療の分野にも興味を持ち、奈良県総合医療センターで集中治療科ICUの専従医として勤務しました。その中で、のぞみハートクリニックでも非常勤として携わっており、のぞみハートクリニックへは去年の7月に常勤として入職しました。 
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写真:前職ICU勤務時代、朝の心臓外科術後管理のプレゼン風景 

-訪問診療に携わりたいと思ったきっかけを教えてください 

  • 大学5回生の時に叔父ががんで亡くなったのですが、病院で検査をした時にはステージ4で、抗がん剤治療をしたとしても数か月の延命にしかならないような状況でした。叔父は入院して治療をするより、家で自分の人生観に沿って過ごしたいという想いがあったため、訪問診療を受けていました。その様子を見て、このような過ごし方・医師としての関わり方があることを知りました。これが訪問診療との最初の接点でした。 
    そして、大学の臨床実習とし訪問診療をしているクリニックで実習をする機会がありました。治療だけではなくて、その場に一緒に居るだけ、お話を聞くだけでも救われる方がいるということが、現場で最初に感じたことでした。その経験から訪問診療にも本格的に携わりたいという想いが芽生え、指導してくださった先生方に相談をしたところ、東京で訪問診療をしていて、かつ循環器疾患の診療に力を入れている先生がいると教えていただきました。それが弓野大先生でした。 その後、2014年にYUMINOへ見学に行き、弓野先生について訪問診療の現場をまわりました。 

 

-当時のYUMINOでの見学について覚えていらっしゃいますか 

  • 当時は学生であり、まだ臨床の経験があまりないまっさらな状態だったので訪問診療に違和感がありませんでした。恐らく、循環器の臨床を長年やってきた方が訪問診療の様子を見たら病院と全然違うというカルチャーショックに近いものがあると思います。わたしは当時あまり臨床経験がなかったことで、訪問診療が将来携わっていきたい医療の形に近いと感じ、すんなりと入ってきたことを覚えています。 
    当時、弓野大先生がよく、「循環器領域において緩和という言葉はあまり好きではない。治療することが緩和になるし、在宅医療は看取りを目的に行っているわけではなくて、新しい治療の場を開拓しているんだ」とおっしゃっていたことが印象的で、「訪問診療」という新しい医療の形をご自身で作ろうとされていることに感銘をうけました。また病院での積極的な医療をとことんやったうえで、訪問診療をおこなったほうが、その後に長く役に立ちます。」という言葉をもらい、まずは大病院での急性期医療で研鑽を積んでいきました。 


-訪問診療ではどのような能力が求められてきますか? 

  • 訪問診療では大掛かりな治療をしていなくても、小さな判断や工夫の積み重ねが重要であり、その一つひとつに多様な対応力が求められると思います。患者さんによっては、一般的な治療法をあえて使わずに別の方法を選んだり、標準的な治療は一通りやるけどそれでは足りない場合、プラスでほかの治療方法を考えたりなど、柔軟なアレンジが必要になります。つまり「その人に合わせてどのような治療を提供するか」という引き出しの多さが大切になってくるのではないかと考えます。 

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-病棟での勤務から本格的に訪問診療に携わるようになって、ギャップは感じましたか? 

  • はい。病院で当たり前にできているような治療を届けることの難しさを感じました。薬の受け取りや、注射をするにしても、どれくらいの頻度で訪問看護を利用しているかなどによってすぐにできるわけでなかったりと、病院の中で当たり前に行われていることが当たり前ではない事に大きなギャップを感じました。訪問診療では治療以外の患者さんの生活スタイルや価値観があって、その中に医療を落とし込みます。「黒子に徹する」じゃないですけど、より患者さんの生活にフォーカスしなければなりません。そして病院のように何度もお顔を見に行くということができず、1回の訪問がすごく大事なため、事前の準備と予測が重要だと思います。 


-訪問診療を行っているクリニックの中でなぜYUMINOに入職しようと思ったのでしょうか?

  • 先ほど話した通り、学生時代にYUMINOで見学させていただき、弓野大先生との出会いから、訪問診療をするならYUMINOで!と思っていました。 
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写真:去年、入職前に弓野大先生とのぞみハートクリニック岡田院長と食事をしたときの一枚 

-最近、お子さんが誕生され、育休をとられたのですよね 

  • 今年2月に子どもが生まれた際には、約1か月間の育児休業を取得しました。その間は、のぞみの多職種スタッフのみなさんに支えていただき、出産への立ち会いから、生まれたばかりの子どもと過ごす時間をしっかり持つことができました。この経験を通じて、自分のLIFE(生活)も大切にしながら働ける環境だと実感しています。 

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-のぞみハートクリニックの雰囲気を教えてください、 

  • 質問すると、どんなことでも気軽に答えてもらえる雰囲気があります。 
    上下関係にとらわれずにスタッフが上司に質問をするだけでなく、院長先生方も全体に相談をされているので、「困ったらまず周りに聞いてみよう」という空気が自然にできています。また、それぞれの経験を出し合いながら対応していけるので、心理的安全性がしっかり保たれている職場だと思います。 そのため、経験が少なくても焦らずに質問しながら、周囲に相談して一つずつ経験を積み重ねていける環境だと感じています。 


 

-最後に今後の意気込みを教えてください 

  • 「何が一番患者さんのためになるのか」という視点を大切にし、全体をしっかりと俯瞰して診察できるようになりたいです。訪問診療は医療や医学の枠を超えて、より幅広い対応力や引き出しの多さが求められます。 患者さん一人ひとりの人生があるうえで、医療が成り立つものだと考えています。その人生にどう医療を落とし込むか、その幅をさらに広げていけるよう努めたいです。 在宅医としての視野と対応力をもっと深めながら、患者さんごとに最も適したプランや治療方針を、一緒に見つけていける存在になりたいと思います

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