YUMINOのひと - 看護師 西田 早織 -
病棟での勤務を経て、YUMINOの在宅医療を支える「管制塔看護師」に。
現在は、業務と両立しながら早稲田大学ビジネススクールにも通う西田早織さんに、看護師を志したきっかけから、「管制塔看護師」の働き方、そして大学院進学への挑戦について聞きました。

-まずご経歴を教えてください
- 大学を卒業して、聖路加国際病院に入職しました。最初の4年間は循環器内科や心臓血管外科の病棟勤務、そこから院内異動で循環器専門のIMCU(集中治療室)で勤務しました。
その後、地元・大阪ののぞみハートクリニックに入職し、大学院進学をきっかけに2024年4月からゆみのハートクリニックに異動しました。
-看護師を志した理由を教えてください
- 母が入院したとき、初めて看護師さんと接して、それまで抱いていた補助的なイメージとは全然違い、状況を的確に判断しながら最善のケアを選んでいく、その知的な姿に強く心を動かされました。この経験が、私が看護師を志すきっかけとなりました。 また、母から「手に職を」と言われていたことも、心に残っていたのだと思います。
-はじめから循環器領域を選択されていますが、理由を教えてください
- 学生時代から、循環器は「やりがいが分かりやすい分野」と思っていました。急変のリスクや、生命に直結する場面が多い分、達成感も大きく、成長につながると感じたからです。
-YUMINOに入職したきっかけは?
- 病棟勤務をしていたときに、「自宅に帰りたい」とおっしゃる患者さんが多くいらっしゃいました。しかし、点滴が抜けなかったり、医療的な理由で帰れない方が多くいました。
そういう患者さんを見ている中で、ずっと「なんとか家に帰せたらいいのに」と思っていました。そんな時に参加した学会で、弓野 大先生が「患者さんを家に帰します」とお話されていて、しかも、実際にそれを実現されていると聞いて、ものすごく衝撃を受けました。
「この先生、本当に帰せているんだ」「自分の思いとすごく近いかもしれない」と感じて、これまでの経験も生かせるかもと、YUMINOに入職しました。
「管制塔看護師」という遠隔で患者さんを支える、今までとはまた違った看護の形に興味を持ったことも理由の一つです。
-「管制塔看護師」はどのようなことをしているのでしょうか?
- 患者さんや地域の訪問看護師さんから電話がかかってくるので、トリアージといって「これは大丈夫そうだな」とか、「ちょっとこれは医師に早めに診てもらった方がいいかも」など、状況を判断して、必要に応じて次のアクションにつなげていきます。
さらに、患者さんの体重やバイタルサインなどのデータはアプリを通じて毎日確認できるようになっているので、「体重が増えてきている」「心不全の兆候が出ているかも」など、そのような変化をリアルタイムでキャッチし、訪問のタイミングを調整しています。電話とデジタルの連携を駆使して、ご自宅で療養されている患者さんを支えています。

-看護師さんと言えば、実際に患者さんのもとへ行って対応するイメージが強いのですが、遠隔で患者さんと繋がるという働き方はめずらしいですよね
- はい、珍しいと思います。YUMINOではテレワークでの勤務もできるので、働き方の選択肢がすごく広がっているなと感じています。
特に、子育てや介護などで現場復帰が難しい看護師さんにとっても、「家でできる看護」があるというのはすごく大きいと思います。もちろん、それだけICTのリテラシーは必要ですが、そこをクリアできれば柔軟に働ける環境は整っています。
とはいえ、やっぱり患者さんのそばにいない分、「どうやって情報を集めるか」「どうやってデジタルツールを使って支えるか」という難しさもあります。しかし、それこそが醍醐味だと思っています。 DXの観点でも、例えば眠りスキャン(寝返り、心拍、呼吸などを検出し、睡眠状態や覚醒、離床などを把握できるシステム)や、色々なデータを組み合わせて活用しているのは、他ではなかなか見られません。それがYUMINOの強みだと思いますし、視野も広がりました。 管制塔についての詳細はこちらから
-大学院に進まれたきっかけを教えてください
- 看護師としてキャリアを積んでいく中で、次のステップを考えたとき、「看護の枠を超えて、組織全体に貢献できることがあるのでは」と感じました。私はもともと、仕組みの改善や課題の本質を見つけて取り組むことに強い関心があり、その領域の力をつけたいと考えていた背景もあります。
そして離職率の問題や、医療のDX推進の難しさなど、現場だけでは解決できない課題を感じていたので、看護以外の視点を得るために経営学を学ぶことにしました。人材マネジメント、組織構造、マーケティング、財務会計、経営戦略、オペレーション、グローバル経営など、企業経営のあらゆる側面をカバーする科目を履修しています。
写真:海外での授業やフィールドワークも!
-仕事と大学院の両立は大変ですよね
- 大変です(笑)。平日は日中YUMINOで働き、夜と土曜に授業。課題やグループワークも多く、タフな日々です。
ですが、YUMINOの柔軟な勤務制度のおかげで無理なく働き続けられています。今は「短日勤務」を利用しており、有給取得やオンコールも調整していただいています。とても協力的な環境に感謝しています。
弓野理事長も「がんばってる?」と気にかけてくださって、わたしがどのようなことを学んでいるのか、周りのスタッフが理解し応援してくれる雰囲気があるのが本当にありがたいです。

-大学院での学びは仕事にも活かされていますか?
- はい。組織開発や人材戦略など、すぐに活かせる知識も多いです。実際にYUMINOで勉強会を開いたり、カンファレンスでのファシリテーションに活かしたりしています。
-今後の展望を教えてください
- 経営学を学びはじめてから、看護師の仕事を含め物事を俯瞰して見る視点が身についてきたなと感じています。 看護師としての視点だけではなくて、組織や人の動き、看護以外のことも学べたことで、看護と経営の"橋渡し役"みたいな存在になれたらいいなと考えています。
具体的には、看護師の働き方だけではなく、付随する組織の課題--たとえば離職の問題や、コミュニケーションの仕組み、組織開発にも関わっていけたらと思っています。自分の学びをチームや職場に還元しながら、看護師としてのキャリアをより広く、深く築いていきたいです。





